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2015年11月12日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ(第4回)
○日時
平成27年11月12日(木) 17:00~19:00
○場所
中央合同庁舎5号館12階専用第12会議室
○出席者
委員
松本委員 | 秋山委員 | 泉谷委員 | 磯谷委員 |
井上委員 | 奥山委員 | 加賀美委員 | 木ノ内委員 |
佐藤委員 | 塩田委員 | 菅野委員 | 辰田委員 |
西澤委員 | 藤川委員 | 星委員 | 武藤委員 |
プレゼン者
藤林委員 |
オブザーバー
法務省 |
警察庁 |
厚生労働省
吉本大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当) | 横幕総務課長 |
源可調査官 | 大隈家庭福祉課長 |
田村虐待防止対策室長 | 小松虐待防止対策室長補佐 |
芦田虐待防止対策室長補佐 | 大津総務課長補佐 |
竹中少子化総合対策室長補佐 | 寺澤家庭福祉課長補佐 |
○議題
(1)検討事項についての意見交換
(2)その他
○議事
○寺澤家庭福祉課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ」を開催いたします。
委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
なお、本日は草間委員、平井委員、卜蔵委員から御欠席の御連絡をいただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○寺澤家庭福祉課長補佐 初めに、ワーキンググループの運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。
視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し、座長から指名する。指名を受けた発言者は、お名前を名乗ってから御発言するということとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。
最初に資料の確認をさせていただきます。
配付資料につきましては、座席表、議事次第、クリップを外していただきまして右肩に資料番号がついてございます。
資料1、法改正のための検討事項の整理。
資料2、新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループにおける主な意見等。
資料3、松本座長提出資料。
あわせて第1ワーキングで奥山座長から提出された、国・都道府県・基礎自治体のイメージ図を添付いたしております。
資料4、継続的な自立支援のシステムの構築。これは10月30日事務局提出資料になります。
資料5、加賀美委員提出資料、就学前の保育・教育の関係で、これも10月30日提出資料でございます。
資料6、木ノ内委員提出資料。
資料7、草間委員提出資料。
資料8、藤林委員提出資料。
資料9、全国母子生活支援施設協議会提出資料。
議論の参考としてで、参考資料がついております。
資料の欠落等ございましたら事務局までお申しつけください。
なお、本ワーキンググループは公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
それでは、これより先の議事は松本座長よりお願いしたいと思います。
○松本座長 どうもこんにちは。お忙しいところ頻回にお集まりいただいてどうもありがとうございます。
本日ですけれども、ワーキングという形で集まるのは最後となります。それで私は先ほど第1ワーキングの方、この中で半分以上が第1ワーキングに出られておられますけれども、大変詰めるべき論点がたくさんあって、なかなか議論が煮詰まらない、あるいは少し御意見をいただくという形で次につなぐということになっているところもあろうかと思います。
最後に松原委員長が御発言されましたけれども、次の専門委員会に場を移して、そこで骨子案を作って、その骨子案をもとにしてまた具体的に提言として取りまとめていくという方向を示されました。松原先生はワーキングのメンバーではないので後ろの傍聴のところにおられますけれども、最後にそのあたりの今後の進め方については、松原先生からまた御発言をいただけるということであります。
本日はこのワーキングで議論してきたことを、不十分ながらも骨子案にどのように反映させるかという観点で御議論、御発言をいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一つ、進め方でありますけれども、取りまとめを座長メモという形で提出をしております。これはざっくばらんに申し上げますと、取りまとめ案について幹事会できちんと議論して、幹事会の合意として取りまとめ案を提出する余裕がなかったということであります。それは率直に第2ワーキングの座長としてお詫びを申し上げたいと思います。ですので、これまでの議論を反映させる形で、且つ、若干私の思いのようなものも入れながら座長メモという形で提出しております。これはこのまま決まるということではなくて、これをもとに少し御意見をいただいて、全体まとめの骨子案に反映していただくという性格のものだと考えております。
本日でありますけれども、全体像について御意見をいただくということと、もう一つは月曜日に幹事会がありまして、議論として不十分ではないかというように残しているところがありますので、そこも含めたいと思います。
それは継続的な自立支援システムの構築という点もそうですし、就学前の保育・教育の質の向上、里親・養親支援の強化あるいは施設ケアの小規模化というところ。それ以外にも全体のまとめから言いますと、乳幼児の里親養育等の推進という社会的養護のところについてもう少し議論をというところと、就学前の保育・教育の質の向上というところにももう少し丁寧な議論をということがありますので、全体というところと、特にそこには時間をとりたいと思っています。
また、本日は第1ワーキングの委員でいらっしゃいます藤林委員からも、里親・養親支援の強化等についてはこれまで御意見をいただいていますので、少しプレゼンをお願いするということもしたいと思います。
それでは、最初に時間の関係がありますので、先ほどの第1ワーキングを見て、これはかなり手際というか論点を絞って進めないとまずいなと思いましたので、最初の心づもりと方針を変えまして、資料3で出しました私のたたき台について簡単にどういう構造でなっているかということを御説明申し上げて、その後、もう少し個別の論点ということで先ほど申し上げた幾つかを先行させるというようにしたいと思います。
資料2は、これまでワーキングで出た主な意見ということで、事務局におまとめいただいたものでありますので、これを御説明しようかと思っていましたけれども、これはご覧いただきながらというようにしたいと思います。
座長メモでありますけれども、総論のところの(1)理念、(2)というところは、これは第1ワーキングのところの絡みで幹事会でも一定の議論をいたしました。ですので第1ワーキングと仮に申し上げますけれども、奥山先生座長のワーキングに出られた方はお気づきかと思いますけれども、そこに合わせてあります。全体に関する制度の対象年齢の見直しについても、これは共通する部分でありますので、最初のワーキングの方と文言を合わせてあります。また、(2)の子どもの権利擁護に関する機関の創設というところも、最初のワーキングのところと文言を合わせるという形にしております。
市町村のところですけれども、これは地域拠点の整備ということはこのワーキングでもかなり議論をしたところですので、それを踏まえて少し骨子案にどう盛り込むかという観点から整理をいたしました。これは第1ワーキングとも絡むところがありますので、その点も書き込んであります。
就学前の保育・教育の質の向上というところは、むしろ本日もう少し御議論いただいて、ここはきちんと書かなければいけないということで、大変他のところとは少しトーンが違う、余り踏み込んだ書き方をしておりません。
児童相談所関係は、一時保護・アセスメント。これは第1ワーキングとも重なっているのですけれども、観点がこちらのワーキングでは社会的養護の出発点、社会的養護の一環としてということですので、そういう観点から議論を少し整理しております。
社会的養護の継続的な自立支援のシステムの構築というところは、こちらでの議論を踏まえて少し具体的に踏み込んで書いております。
母子生活支援施設の機能の見直しというところも、こちらの方で特に妊産婦、妊婦さんの利用ということについて話題になりましたので、その点について少し踏み込んで書いております。
里親・養親支援の強化というところ、あるいは5ページに行って施設ケアの小規模化の推進と機能の向上、もう一つは乳幼児の里親養育等の推進ということについては、本日少し議論をいただいて、意見を出していただいて、もう少し書き込むことが必要だと考えておりますので、この点については余り踏み込んだ書き方はしておりません。
あと補足というものなのですが、メモに補足がつくのも少し変かなと思うのですけれども、1点目は上記のメモは暫定で、特にこういうことが必要だということ。外に出回ることもありますので、注意書きで書いておいたということです。
2点目、3点目は私の現段階では個人的な整理で、幹事会等で議論しているわけでありませんけれども、個別の論点についてばらばらと議論をしておりますので、私なりに全体方向はこういうことだろうとして、今回の制度改革方向というのは子どもの権利というものを明確に位置づけるということ。家族支援の強化、すなわち予防的観点の明確化ということも中に方向としてあるだろう。
3点目は、基礎自治体の基盤強化と地域における支援の強化。これと連動する形で児童相談所等の関係機関の機能の検討と資源の配置・創設、専門性の確保と職員配置、そういう問題が議論されているのだろうと、これは私の理解であります。
4点目は、子どもへの適切なケアの保障と支援の一貫性・継続性の確保。そういう観点から社会的養護の問題あるいは継続的な自立支援の問題が議論されているだろうと考えますので、全体としてこういう方向にあるという中で部分の議論をしていると一旦は整理したいと考えております。これについてもこういうことで良いのかどうかというのは後で御意見をいただければと思います。
3点目は、これは私、座長としては踏み込み過ぎかもしれませんけれども、今後目指すべき専門委員会報告については、目指すべき全体像を明確にするとともに、当面の法改正の事項とすべきことや制度の運用で充実させていくこと、あるいは検討課題ということを少し具体的に意識する必要があるかと思いますので、これは本日、時間があれば何をということを議論したいと思いますけれども、例えばというふうにして私はこういうことを少し、このワーキングの課題としては出しましたけれども、もし時間があれば骨子案にどのように盛り込むかということも御意見をいただければと考えております。
この全体のたたき台については、また後で全体議論に振り返るというようにしたいと思いますけれども、今のところこういう構成で考えていることになります。
それでは、少し個別の論点で、もう少し積み残して集中的に議論をしたいというところについて議論をしたいと思っております。
まず、1点目は骨子案のところですと、3ページの社会的養護の(1)の継続的な自立支援のシステムの構築というところであります。これについて方向としてはおおむね合意というように考えております。もちろん細かいところでどういう条件のときにとか、受け皿をどうするのかということについては、いろいろな議論があったと思います。
ただ、議論をもう少し御意見をいただかなければいけないのは、根拠法をどう考えるかということであります。これは大きく2つの方向があって、○の7、この制度変更は児童福祉法の特例措置、児童福祉法の枠内で年齢を少し講じる場合にはというようにして延ばすという方向と、18歳あるいは20歳というように児童福祉法の年齢を考えた場合に、児童福祉法以外の法の制定ということを積極的に考えるという方向があるかと思いますけれども、これについて両方あるよねというぐらいで余り御意見をいただいておりませんので、ここで結論が出るということではないかもしれませんけれども、どのように考えたら良いかということについて御意見をお持ちの方がいっぱいいらっしゃると思いますので、まずお考えをいただければと考えております。
内容については、どういう問題であるかということは2番目であります。3番目のところからいくと、個々の児童について全体を通した自立支援計画がきちんとあって、それが担保される仕組みが必要だ。そのときの共同関与をもう一度見直すことが前提になるだろうと思います。
4ページ目に行っていただいて、児童福祉法の年齢を20歳未満として法的枠組みの支援を継続するということ。あるいは社会的養護による代替的養育を受けた児童や、その他虐待防止や自立支援の観点から必要と認めた児童について、児童福祉法の年齢を超えた場合でも法的枠組みに基づいた支援が必要に応じて継続されるための制度変更を行う。ここがこのワーキングから言うと一番重要な点かと思います。それを行うためには児童福祉法という枠内で内閣府もいろいろ工夫を考えるということにするか、別法もあり得るとして、一応ここでは両方書いてあります。
この点についていかがでしょうか。個人的には児童福祉法の枠内の特例措置ということがまず検討するということで、いろいろ実践を積み重ねる中で必要があれば別法というように発展させるということもあるのが近道かなと考えておりますけれども、それでは限界があるので、むしろ別法、ケアリーバー法のようなものを考えるべきだ、そちらを追求すべきだという考え方もあるかと思いますので、いかがでしょうか。菅野委員、お願いします。
○菅野委員 滋賀の菅野です。
年齢の要件という例えば成人年齢に合わせてというところ、いわゆる児童をどう規定するかということと、今、話題になっている自立支援というところの年齢というところです。だから児童ではないけれども、自立支援が必要な人たちという成人の部分ですね。そこまでの連続性を確保するという意味では、児童福祉法では20歳になるのか18歳になるのか規定をしておいて、逆に言うとそういう存在に対しては別法なり何なりでケアが必要な部分で、そこのケアをやっていくというように柔軟に対応しておく方が実際に運用しやすいのかなと思います。だからそのために、そこに例えば児童相談所が持ってきた情報をどのようにつなぐのかとか、そういう細かいところも含めて別に定めてもらった方が何となくイメージだけですけれども、すっきりするのかなと思います。
○松本座長 そうすると、一定の条件が要ると思うのですけれども、例えば代替的養育なり里親委託なり受けた子ども、あるいはそういう委託を受けなくても例えば高校を中退して、大変危うい中で在宅支援をしているような子どももいると思いますけれども、イメージとしてはそこも何とか少し含める形でと思っているのですけれども、それは別法で、いずれにしても児童虐待で児童福祉法上、対応した児童で必要と認める者はということで別法でというように、そこに対応するような別法を作る方がすっきりするという御意見。
○菅野委員 追加をさせていただくと、自立支援というようになったときに、いわゆる虐待で関わらなくても、例えばひきこもりであるとか、何らかの社会的ハンディーを負って育ってきたという人たちへの支援というか、もう少し幅があっても良いのかなというのは印象としてあります。在宅で支援を受けていて、まだその継続が必要な人たちというのもあるのかなと思いますし、だからその辺が絡んでくると生活困窮者の関係も出てくるでしょうし、子どもの貧困の課題も出てくるでしょうし、いろいろなものが絡んでくるのかなと思います。
○松本座長 なるほど、分かりました。
他いかがでしょうか。
○木ノ内委員 全国里親会の木ノ内です。
年齢要件その他、異論があるということではないのですけれども、権利擁護という言葉が非常に飾り的に使われている。現在、高校で18歳の選挙権の問題で主権者教育というような、当事者の権利というだけではなくて、どのように教育、動機づけをされて権利の意識を持つのか、その辺のところで社会的養護についても権利擁護というだけではなくて、もう少し各論になって主権者教育みたいなものを上手く入れられないのかなと思いました。
○松本座長 なるほど。それは社会的養護全般に関する御意見ということですね。分かりました。
どうぞ。
○西澤委員 何を基準に考えたら良いのかが分からないので、別に法律を定めるのと、この特例措置というか児童福祉法の中でやっていくのが具体的にイメージが湧かないのです。ただ、素人感覚で言うと児童福祉法の改正だけでも大変なのに、新しい法律を作るとなるともっと大変ではないかと想定すると、先に先になっていくのが逆に怖いかなというのと、議論の出発点は社会的養護、これも座長が大分強調されたと思いますけれども、虐待、ネグレクト等でそこが適切な養育の場ではないという形で社会的養護、代替的養護を提供したのだったら、最後まで責任をとろうよという自立の支援の部分なので、今、もちろんそこにいろいろな問題を突っ込みたくなるのは分かりますけれども、まずは王道の部分をちゃんと確立して、広げられるのであれば広げていくという方向にした方が良いような、我々の作業量を考えてもというように思います。
以上です。
○松本座長 他いかがですか。
私のイメージとして、自立支援計画をどのように終結するのかというときに、もう少し特例で20歳までそれを延長するということと、終結に当たっては児童相談所と例えば児童養護施設なり自立援助ホームなり仮にどこかで委託されているとしたら、その委託先も共同できちんと終結の確認をして、その後どのように必要があれば成人サービスにつなぐのかということまで含めて、その地点まできちんと責任を持つような体制。そういう意味では年齢の問題だけではなくて、自立支援計画の立案と実行あるいは見直し、終結という一連のプロセスの見直しということを中に含んでいるというのが私自身の持論ではあります。そこを20歳を超えた場合の根拠をどうするかというのがありますけれどもね。
他はいかがでしょうか。では、この点については特にここで圧倒的多数でどちらということではないと思うのですが、どちらにも一長一短ある。だから出発点からすると社会的養護での子どもたちをどのように責任を持って公的関与を継続するのかという観点で整理をしたいと思います。恐らく骨子案には両方を書き込んで、具体的にどちらができるかという具体的な制度設計のところで議論をすることになろうかと思いますけれども、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。何か他にそういうことであればということで、何か御意見があれば。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、2つ目の残した論点というふうにして、里親・養親支援の強化というところであります。1つは藤林委員から御出席いただいてプレゼンをいただくということもありますし、木ノ内委員からも資料をいただいておりますので、先に藤林委員からプレゼンをいただいて、木ノ内委員からも御発言をいただくというようにして、全体の議論としたいと思います。
では藤林委員、お願いいたします。
○福岡市こども総合相談センター藤林所長 私は第1ワーキンググループですけれども、座長からの御指名も受けまして、里親制度・里親支援の問題につきましてまとめておりましたので、簡潔に述べたいと思います。
現在の里親制度・支援の問題はたくさんあるわけなのですけれども、特に里親支援だけに限って言いますと、ここに書いておりますように1つは里親委託の都道府県格差がなかなかなくならないという問題があって、その背景にあるのは現状の児童相談所や里親支援機関が行う体制の問題も大きいのかなと思います。
児童相談所について言いますと、昨年度の全国里親委託等推進委員会の報告書にありますように、専従職員数であるとか、職員の経験年数にばらつきがあったり、短い児童相談所も多いという問題があります。
もう一つ、児童相談所の体制だけではなくて、児童相談所といったものが持っているジレンマといいますか、児童相談所と里親との関係は,措置するところであり,支援を行うところである,いうことが里親さんの中には,どうしてもなかなか相談しにくいといった声もよく聞かれるところです。
では、その意味で児童相談所以外に置かれている里親支援機関または里親支援専門相談員さんはどうなのかといいますと、どうしても支援が断片的であるという問題があるとか、また、そのリクルートと研修と支援とか,全体を支援しているわけではなくて、そこが別々という問題もあるかなと思っています。ここは,どこが問題なのかというのはなかなか分かりにくいかもしれませんけれども、やはり一番当初のリクルートし、研修をしていくという中で、研修を行う者と,里親さんとの信頼関係が生まれ、その後の支援につながっていくわけなのですけれども、当初のところがないまま支援に入ると,なかなかそこが難しいなと思うところです。
一方、里親委託不調の問題がなかなか深刻かなと思っていまして、一番最新の厚労省のデータを見ますと、約19%は多分委託不調というように推測されるかなと思います。一方、第1ワーキンググループの中でも一時保護専従里親であるとか、または乳幼児の里親を増やしていくといったニーズの増大が一方であるわけですから、今までの仕組みだけでなくて、新たな仕組みの創設が必要ではないかというように思うところです。
では、どのような改善方向があるのかということなのですけれども、こういったフォスターケアの長い歴史のある英国でもオーストラリアでも、過去同様の問題を抱えておりまして、里親家庭内の虐待であるとか不調ということが頻発する中で、どうも自治体だけではなくて民間機関、fostering agencyというように言われるわけですけれども、ここを活用していく中で里親養育の質を向上させてきたという歴史があると聞いています。
また、一方、国内におきましても,NPO法人静岡市里親家庭支援センターは、里親業務全般、措置業務を除くリクルート、研修、その後のマッチング支援まで全般を受託し、実績を上げていると聞いておりまして、委託率は何と43.8%という非常に高い率を達成しております。
そう考えますと、英国の民間企業や静岡市をモデルに,包括的な入り口のところからその後の支援、子どものケア・実親交流まで含めるかどうかは議論があるかもしれませんけれども、断片的な支援ではなくて包括的な民間機関による事業を導入していく。それをできれば法的に位置づけていくことが必要ではないかと思っています。
次のページですけれども、それを英国風のfostering agency、fosteringという言葉を使いますと里親養育事業となるのか、どのような日本語にするのか迷うところではありますけれども、こういうものになるのかなと思っています。ここも一番中心になる考え方は、里親さんを外側から支援するというのではなくて、里親さんと支援者が本当にチームとなってフォスターケアを行っていくというのが非常に重要な概念と思います。
このような里親養育事業の運営というのは、いろいろなNPOが運営主体になることによって広がりを促進するという方向もありますし、また、既存の乳児院や児童養護施設、場合によれば障害児入所施設さんなんかも含めて運営主体になることで、施設ならではの強みを生かした取組も期待できるのではないかと思っています。
ただし、第二種の場合には基本的には届け出になるのかなと思うのですが、在宅といっても中身は入所サービスと同様ですから、やはり事業開始に当たっては何らかの認可システムが必要であり、事業開始後も適切な監査、評価が必要かと思っております。
では全て民間がやれば良いということではなくて、児童相談所が里親養育事業者として残る部分もあるかと思いますので、従来どおりの児童相談所の役割も残しながら、自治体型の里親養育事業,そして,民間の里親養育事業が並列していく形が今後望ましいのではないかと思います。
以上です。
○松本座長 ありがとうございます。
そこにいてください。この論点に関するところはいて議論に入っていただく、質疑も入っていただく方がよろしいと思いますので、そのようにお願いいたします。
今のお話は、里親養育事業というものを新設する、第二種の事業を新設するという御提案ですね。分かりました。
議事の進め方ですけれども、4ページの里親・養親支援の強化というところと関連して、もし(5)で乳幼児の里親養育等の推進というところも関連した御意見がいっぱい出ると思いますので、ここは一括して御意見をいただく、議論をするというようにしたいと思います。
それでは、木ノ内委員から御発言をお願いいたします。
○木ノ内委員 木ノ内です。
藤林委員から里親養育事業というものが、全く同じような最近言われつつある言葉なので、この言葉の方が良いかなと思っております。私のペーパーの方で言いますと2つ御提案があるのですけれども、その下の方に里親支援機関の見直しということで書きました。以前にも、前々回にも私はこれと同じようなメモを提案しているのですけれども、少し内容を整理したということで今回また出させていただきました。
平成21年度から里親制度と里親支援機関について作られてきたわけですけれども、里親支援という言葉が非常に曖昧で、里親にとっては支援ということは何かやってくれるのだろうかというと、余りそうでもないということがあったりして、行政の責任としてきちんとやるべきことをやるということで考えると、余り支援という言い方ではなくて、もう少し責任を持った団体ということで里親養育事業というのが良いのかなと思っております。
そこはどのようなことをするのかということですけれども、藤林委員の提案にもありますように、さまざまなものを一括して児童相談所から小出しに業務委託するのではなくて、一括でお願いできないか。里親開拓から研修業務あるいは登録、マッチング、場合によっては実親の支援であるとか、もちろん里親家庭の支援も入るわけですけれども、そういったものを一括して行う。例えば私、アメリカも視察してきましたけれども、エイズの子どもを養育するのにエイズの子どもの養育に適した里親開拓をして、研修も受けというようなことをやっているのです。そういう意味で言うと里親養育機関事業を丸ごと外部化するというのが一番良いのではないかと思っております。
あわせて一時保護についても、そういった機能を利用すれば良いのかなと思っているのですけれども、非常に藤林委員と似たような結果になってしまったかなと思っております。
以上です。
どうしましょうか。一番上にパーマネンシーのことを触れたのですけれども、良いですか。一番上に書いたのがパーマネンシーの実現ということで、これは児童福祉法改正に当たって少し言い残しつつ触れていないという部分があって、国連その他の非常に長期安定的な永続性といいますか、そういったことを今、重んじているといいますか、そういう中で乳児院であるとか児童養護施設、里親も考えてみるとそうなのですけれども、長期に入所している場合には制限を設けて良いのではないかと思っております。実は里親支援専門相談員というのができまして、それは施設から里親へ長期入所児童の移動ということを考えたわけですけれども、なかなか進んでいないことを考えると、入所期間の制限ということを一度考えてみるべきかと思います。
里親についても、里親の類型についても長期で養育する里親と、今、厚労省の調査では里親の平均養育期間は3.9年ぐらいなのです。ですので長期の場合には長期の里親というものを特別に作って、いわゆるパーマネンシーのためには長期の里親か養子縁組か、そういう部分を明確にしていくことが大事かなと思っております。
そういうことで言いますと、乳児院等も業務を見直して里親への支援サービスということをだんだん特化していっていただきたいなと思っておりまして、そこを少し触れたかったということであります。
○松本座長 分かりました。これも最初に御発言いただいたところは藤林委員と同様の新しい事業の創設ということと、2点目のメモで言うと最初のパーマネンシーのところは、若干制限を設けて、里親を類型化して機能を明確にして委託期間にも制限を設けるというように整理をしていったらどうかという御提案ということだと思います。
それでは、後は里親に関しては草間委員から名称変更の提案のメモが出ておりますので、そちらも御確認ください。
それでは、今かなり具体的な御提案、提起がありましたので、そのことを巡って少し議論をしたいと思います。皆さんいかがでございましょうか。
○磯谷委員 磯谷です。
まず1点目は里親養育事業者といいますか、そちらの関係ですけれども、基本的なコンセプトは本当に賛成でして、やはり必要なのだろう。特に藤林委員もおっしゃっていた措置をするところと支援をするところが同一になっているというところで、やはり児童相談所に頼れない、悩みを打ち明けられないという里親の問題があると思います。
そうではあるのですけれども、木ノ内委員のペーパーの一番下のところに、里親養育事業者がマッチングも行うと書いてあります。藤林委員の方について特段そういう記載がないのでどのようなお考えなのかが分かりませんけれども、仮にマッチングをこの業者が行うということになると、つまりこの子どもについてはこの親が良いのではないかということも関わることになると、そうすると里親の方はそこのところは結局業者さんがやるんだと。つまり、業者に対して自分の弱みを見せられない。もし弱みを見せると今後新たな委託が来ないかもしれないというように思ってしまうおそれがあるのではないか。そうすると結局、先ほど懸念した問題が、今度は業者との間で再現されるのではないかというように懸念をします。ですから措置の権限はもとより、マッチングについては業者が少なくとも表立って関わることは避けるべきではないかと思います。
○松本委員 確認をしたいのは、民間の営利企業の業者という意味ではないですね。事業者ということですね。一社会福祉事業として位置づけるということですね。
○磯谷委員 2点目はパーマネンシーのところで、これも全くおっしゃるとおりでありまして、きちんといつまでも施設に入っているということではなく、パーマネンシーが必要だというのもそのとおりだと思います。ただ、ここもなかなか難しいと思うのは、1つは例えば先ほどの入所制限、委託制限のところですけれども、中には家庭的な養護がなかなか難しいお子さんというのもいるのではないか。例えば非行や問題行動あるいは何か精神的な問題を抱えていて、なかなか家庭で難しいというお子さんもいるのではないか。そういう場合に一律こういう形で制限をするというのは難しいのかなという思いが1つ。
もう一つは、アメリカはかなりドラスティックにやっていると思いますけれども、例えば18カ月親の方の養育が改善されなければ、これは親子関係を切り離してパーマネンシープランだということになりますけれども、そういったところは一部うらやましいと思う反面、日本の国民性にどの程度合うのかというところも考えなければいけないのだろうと思います。例えば親が後から18カ月なら18カ月を過ぎた後で、その子どもに対して思うようになって、また育てたいというようになったときに、外国のようにドラスティックに、いやそんなのは手遅れよと蹴飛ばせるのかどうか。そこのあたりの国民性もよく考えないと、非常に遊離した制度になってしまうおそれがあるのではないか。ですからこのあたりの線引きというのは、よくよく慎重に考えてやらないといけないのではないかと思います。
○松本座長 今、論点は2つあると思います。
1つはパーマネンシープランニングの話で、もう一つは里親エージェンシーの話ですね。
何か御発言ございますか。木ノ内委員、お願いします。
○木ノ内委員 木ノ内です。
マッチングについては現在のところほとんどされていないのではないかと思うのです。そういう言い方があるかどうか分かりませんけれども、里親の実情をきちんと見られる、里親開拓と登録の業務をやったところがマッチングをやるというのが普通なのではないかと逆に思うのです。もちろん措置は違います。措置は多分司法の領域といいますか、そういったところできちんとやっていただきたいと思うのですが、マッチングについては一番知っているところがやるというのが良いのではないかと思っています。
パーマネンシーについては、確かに難しい子どもというのはいるでしょうけれども、原則としてパーマネンシーを貫く思想を盛り込んでいただけないかと思います。今回の児童福祉法の改正ということで言えば。
以上です。
○松本座長 辰田委員、お願いします。
○辰田委員 八王子の辰田です。
私もマッチングのところについては前回のワーキングでも、磯谷委員のおっしゃることと同意見です。まず里親支援というところでは、里親支援機関の機能の拡充というのはどんどんしていってほしいし、児相が言えない本音だとかいうのも聞いた上で支援を是非深めてもらいたいと思っています。
ただ、マッチングについては、例えば児童相談所は子どもの状況、児童養護施設等についても施設の特徴、そういった上でこの子にとってどこの施設が良いかというところで措置先を決める。里親も同じだと思うのです。里親支援機関等が調べていただいた情報の中で、この子にとってどういった里親さんが良いかというところを決めていく措置権者の責任もあるし、そこは死守すべきかなと。それも全部マッチング先まで里親支援機関で決めてもらうというのは、ちょっと違うかなと。逆に磯谷先生が懸念していた里親さんも、なかなかいろいろな本音も言わなくなってしまう。そういった懸念が出てくると思います。
○松本座長 他いかがでしょうか。
武藤委員、お願いします。
○武藤委員 パーマネンシー実現に向けてということなのですけれども、今、児童養護施設等も割と家庭的養護ということでの方向転換といいますか、それを図りながら施設でも長期的な支援ができるようなシステムという部分も努力をしているところであります。
そういう意味からすると、長期入所することを制限する一定のルールを作るということではなくて、子どもたちの安定的な生活が保障できるとか、養育の一貫性が保障できるという視点に立ちながら進めないと、例えば2年たったら全員里親に移るんですよということで、例えばの話ですよ、なってしまうと、子どもの安定がかえって図れないというケースが出てくるのではないか。現実的には里親からまた施設に戻ってきたりする子どもたちもいたりして、いずれにしろ言葉が悪いのですけれども、養育する場所がたらい回し状況になるといいますか、そういうことになってしまうといけないと思いますので、そういう意味でしっかり子どもたちの長期的な支援をするという視点に立っての議論が必要なのではないかと思いました。
以上です。
○松本座長 今、論点が大きく2つあって、パーマネンシーの話と里親エージェンシーの話です。里親エージェンシーの方にまず集中して議論をしたいと思います。
○加賀美委員 地域拠点事業のところでもお話をしたのですが、そもそも論みたいな話になって申し訳ないですが、新たな社会的養育システムをどう形成するかというのはこの委員会の一番大事なところで、そこで市町村レベルで子ども・子育て支援を明確にしていくロードマップを作っていこうという流れだとすると、里親さんも、ファミリーホームもそうなのですが、地域の中の一番身近な市町村が支援者になっていくという流れの方が、自然なのではないか。そういう意味合いでいくと、これは何でもかんでも市町村に持ってきて大変だという議論が出てくるのかもしれませんけれども、身近な市町村が子ども・子育て全体の支援をつかさどっていくというような流れに収れんしていく方がよいと思っています。基本的には地域拠点事業の中に里親相談支援というような枠組みを形成していくことが私は必要なのではないかと思っています。○松本座長 里親エージェンシーという事業を始めるときは、むしろ地域拠点の中にその機能を含み込ませていくべきだという御意見ですね。
西澤さん、どうぞ。
○西澤委員 基本的に藤林先生が言ったみたいに、支援の内容が分断されているということをパッケージ化すると考えると、できる限りそこの支援事業者というか里親養育センターなりに事業を委託するという方が筋だと思っています。
現在、福岡とか愛知とか特殊というか先進的な取組をしているところは除いて、大体は乳児院の子どもたちとか児童養護施設から行くわけですね。そのときにマッチングというのが何なのかよく分かりませんけれども、児童相談所が子どもを一番よく知っているというのはちょっと語弊がある。むしろ乳児院のスタッフの方が赤ちゃんのことをよく知っているというように思うし、そこでマッチングというのは交流ではないですか。マッチング事態が措置を決定するわけではないで、交流の善し悪し、これは里親側も子ども側もだと思うのですけれども、相性といいますか、それを見るわけなので、そこでまた実際に現場を見ていると、乳児院のケアワーカーが里親さんにアドバイスしたり、里親候補者にアドバイスしたりとか、そのプロセス自体はさほど私はクリティカルなもの、クリティカルというのはだから相談できないというのではなくて、むしろ相談関係を作る最初の段階のような気がするのです。だからマッチングというのはそもそももともとの定義が何なのかよく分かりませんけれども、現状ではそうなっているので、措置権だけを児相が持っていれば、それはそれで私は機能するような気がします。
○松本座長 他いかがですか。藤林さんももし何か御発言があればどうぞ。
○福岡市こども総合相談センター藤林所長 西澤委員が言われたとおりで、特に賛成ですので追加の意見はありません。
○松本座長 木ノ内委員、どうぞ。
○木ノ内委員 今、それぞれから言われたことについてコメントをしますと、武藤委員は施設でのパーマネンシーがあるのではないかということなのですけれども。
○松本座長 すみません、里親エージェンシーの方に今、議論は限定したいと思います。
○木ノ内委員 ごめんなさい、一言だけ言えば、家庭環境での養育の永続性をパーマネンシーと言うので、施設にずっといるのはパーマネンシーではないのではないか。
それから、加賀美委員から地域でのということがありましたけれども、確かに生活の場の地域の中に子どもの福祉というのは根強くというか、厚みのある福祉があるわけですけれども、これも社会的養護の支援というよりは養育の責任みたいなことで言えば、やはり機関が必要かなと思っています。
私も西澤委員の考え方で良いのかなと思っております。
○松本座長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 私が申し上げるのは、具体的に特定の子どもと特定の里親なりを結びつけていく、その過程において例えばこの里親エージェンシーなり一時的に子どもを預かっていた乳児院なりが関わることについては、これは適当だろうと思います。ただ、措置というのは具体的にある特定の里親さんに子どもを預けるという行為になるわけですから、そこのところを少なくとも実質的に他の機関に委ねるというのは、ちょっと行政処分としてのなじまないのではないかと思います。
尊重するとか、そういった意見を十分聞くということは当然あるとしても、具体的にどこの例えば里親さんに委託をするかどうかというのは、だってそれは後からもし何か問題が起きれば行政が責任を負うことになるわけですから、そこのところは何かこういうエージェンシーに丸投げということはできないのではないかと思います。
○松本座長 どうぞ。
○西澤委員 措置権は児相です。だからむしろマッチングをやってみて、マッチングってクリティカルなことではないですか。その結果でこの組み合わせがよいのではないかということをちゃんと理由を持って説明をして、児相に措置をしてもらうというような感じでイメージできないでしょうか。措置権まで移せとは言っていないです。
○磯谷委員 実情をお話すると、辰田委員の方でもし間違っていれば御指摘いただきたいのですけれども、実際に今、とにかくお子さんと特定の里親候補者とまずピックアップして、そして、その人たちに交流を始めてもらって、特段問題がなければ里親さんにとお願いをするという流れになると思うので、要するにどの里親さんを選んでくるかというところ、つまり、そこがまさにマッチングだと思うのです。ですからそれは措置の内容にも直結するものだと思うのです。もちろん何かトラブルが起きれば他の人という話になるのでしょうけれども、何かたくさんと交流してもらってという話ではなく、最初から1人の人と交流してもらうので、そういう意味では繰り返しになりますけれども、マッチングのところでいろいろな意見を参考にするのはもちろん結構ですけれども、最終的にどの里親さんを選択するのかという責任は行政が負うべきではないかと思います。
○辰田委員 磯谷先生のおっしゃっている理解と私も同じです。例えばAという家庭に交流を開始するかどうか。そこは里親支援機関ではなくて児童相談所が判断をしていく。そしてその交流の中でマッチングを里親支援機関に手伝ってもらう。そこは逆にお願いしたい。委託先をA家庭に決定するところは、行政の責任なので、児童相談所がやるべきだと思うのです。○松本座長 大体議論の構図が見えてきたと思いますので、ちょっとまとめさせてください。
骨子案にどう反映させるかという観点なのですけれども、1つは里親エージェンシーと養育事業と呼ばれているような事業ないしそういう機能は必要だろうということは、それについては反対はないと思います。ただ、そこはどこが担うかというのは第二種事業として開始するか、それとも事業を独立させるか、地域拠点のところに含み込ませるかということはいろいろな意見があった、2つあった。
もう一つは、どの範囲まで委託をして、どの範囲まで公的な権限を負うというところのマッチングのプロセスで、どこが公的な責任と関与の範囲かということで若干意見の相違があるという理解でよろしいですか。
議論をあと二、三分継続しても、これ以上進展がなかったらそういう形で骨子案に反映させることになると思いますが、西澤さん、何か言いたそうにしていますが。
○西澤委員 言いたいです。だから海外のモデルをもとに里親をより開拓していって、より里親委託を増やそうとしているわけです。それで藤林先生が海外のモデルで里親支援ではなくて里親養育という観点の機関を作ったら、そこは大方の事業を受託するわけです。例えばリクルート、研修、そういうことをそこがやっておいて、児童相談所はどうやってマッチングをするのだろうかということになると、やはり児童相談所がそこの責任を持たなければいけないよねということになって、今の構図と変わらないわけです。
1つこれは非常に皮肉っぽく言うけれども、児童相談所は業務が大変だから何とかやってくれと言って仕事を別のところに振ろうとする。それはうちの仕事みたいな、すごい縄張り意識があるなと思います。
○福岡市こども総合相談センター藤林所長 最後に一言。そうは言いながら磯谷先生とか辰田委員が言っていることと私の言っていることは近い感じがするのです。措置するということは誰々の里親さんに委託するという措置ですから、向こうから候補として挙がってきた人について,我々とはエージェンシーと話し合ったりするわけですし、候補段階でも話し合っていくのではないかと思うのです。ですからここは運用の部分かなと。マッチングをどこまで定義するのかという問題もあるかと思うのですけれども、ここは大体似た線かなと思っています。
○松本座長 実際のところで整理したら詰められると思います。
○磯谷委員 今、藤林先生おっしゃったとおりで、先ほど西澤先生の御懸念は、コミュニケーションで解決していかなければいけない問題なのだろうと思います。ですからそのように恐らくよくよく情報交換をしながら進めていくということになるのかなと。ただ、例示的に言えば、例えば里親についてもし誤った里親と言ったら語弊があるかもしれませんが、そういった里親を選択して何か問題が生じたときに、では誰が責任をとるのかというようなことからすると、それはやはり当然行政処分なわけですから、それは行政の方の責任が問われるわけなので、そこのところは丸投げというのは少なくともできないだろうということです。
○西澤委員 今、どうやって責任をとっていますか。
○磯谷委員 幸いなことに、今そのようなものが、私もどのぐらいあるのか分かりませんけれども、しかし、里親委託というのは行政処分になるわけですから、当然そこのところで何か瑕疵があったということになると、それは行政の方が責任を問われる可能性がありますね。
○松本座長 この議論はこの辺にしたいと思います。
○西澤委員 分かりました。ただ1つだけ、里親虐待で死亡事例が発生していても、行政は責任をとっていることはないと思います。
○松本座長 いずれにしても公的なコミットの中で行われるので、そこは別に丸投げというイメージではないということは確認をしたいと思います。その上で具体的な業務をどこまでマッチングなり詰めるかというのは、ここで議論するというよりは、そういう事業は必要だということは提言として盛り込んで、もう少し詰める必要があるだろうと思います。よろしいですね。
○木ノ内委員 すみません、こういったかなりの部分を外部化するということは児相にとっても心配なことがあるだろうと思うのですけれども、そういう意味でいわゆる監査機関と言うのでしょうか。そこがきちんとやっているのかやっていないのかというのを判断するような機関を作れば良いのかなと思ったのですけれども。
○松本座長 あるいはモデル事業的に始めていくというか、そういう中で経験を積んでいくことが必要かなと思います。
○加賀美委員 在宅措置という流れの延長線上の問題だと思うのです。家庭に子どもを委託するという。だから地域拠点でという考え方というのは、もう一度そこはきちんと考えた方が良いと私は思います。
○松本座長 次の議題に移る前にパーマネンシーのところで少し意見がありましたので、それは家庭的養育というところが基本だろうということと、施設の場でもきちんと一貫した養育が保障されるのではないかという考え方の相違だと思いますけれども、そういう考え方で少し議論がありましたけれども、そこについて特に法改正ということになると理念の中にどのように盛り込むかどうかという問題になってくると思いますので。
では加賀美委員、磯谷委員、お願いします。
○加賀美委員 今の話と関連性があるので、ここで発言しないと多分、発言するところがないので。先ほど名称変更の話が案も出てきたということで、前回、木ノ内さんからお話があった里親制度が拡大していかない1つの要因の中に、養子縁組制度と極めて明確に区分できていないという御発言があったと思います。そのとき私は里親という言葉自体を変えた方が良いのではないかという発言をしたと思います。そういう意味で名称変更というのは新たな社会的養育システム全体の議論の中では重要な意味を持っていると思います。お嫌いになる方もいらっしゃったような気もしますが、東京都がやっていた養育家庭制度を里親制度に変えるという考え方もあるのではないかということでございます。
○磯谷委員 誤解がないように申し上げておきますけれども、私はもちろんこのパーマネンシーの考え方は非常に重要だと思うし、当然、家庭養護を中心に考えていかなければいけないというのは当然のことだと思っておりますので、武藤さんのおっしゃった御趣旨が正しく理解できているか分かりませんけれども、施設にずっといることがパーマネンシーだとは私も思っていない。そこは望ましいあり方ではないのだろうと思います。
一方で一律という考え方というのはなかなかなじまないのではないかと思うのと、日本的な、我々は逆に言えばどっぷり浸かっているわけですが、そうではない人たちのところもよく考えないとよろしくないのかなと。そういう意見でございます。
○松本座長 これは特に制度もそうですけれども、理念のところでどのように書き込んでいくか、あるいは書かないかということとも関わりますので、もう少しこの点について何か御発言があれば。
○菅野委員 パーマネンシーということにすごく大事なことだと思うのですけれども、そこに一定の年齢になった子どもであれば、子どもの意見をどう反映していくのかとか、そういうことも必要になるのかなと。ある事例で兄弟ばらばらに暮らしていた子がいて、一緒にした方が良いだろうということで、一緒になるプログラムを作ってやっていったのですけれども、片側のところへ行った子は自分の育ち、ルーツみたいなものから離れてしまって、ちょっとつらい思いをしたということを後から聞いたこともあって、もちろん周りでよかれと思って決めることと、小さい子どもの場合、難しいと思いますけれども、一定年齢のところでいわゆる子どもの連続性みたいなものも確保する。子どもの思いみたいなものをどう反映するのかというパーマネンシーを考えるときに、その辺すごく大事なのではないかと考えます。
○松本座長 大変重要な御指摘だと思います。
他いかがでしょうか。これはもう一度専門委員会で全体で議論をするときに、最初の理念部分をどのように書くかということと関わってくると思います。ただ、一貫性ということはとても大事だということ、その場の一貫性ということをどのように考えるか、その場はどこが適当なのかということで少し見解が違うということはあるかと思います。
どうぞ。
○西澤委員 どう言ったら良いのか、欧米というか英米では里親・養子縁組家庭が70%、80%ということで、ただ、大陸ヨーロッパを見るとドイツなんかでは50%、50%ぐらいで里親と施設、里親養子縁組の施設みたいな、そういうバランスになっていて、必ずしも施設養育が悪いという世界的にも定められるというか、見なされているわけではないというのが事実。ただ、そのような大陸ヨーロッパの施設も物すごい小規模だし、専門機能特化していて、この前そういう国際学会に聞き合わせてみたら大体平均の入所期間というのが2年ぐらい。その間に問題をある程度整理して、里親養育・養子縁組につながるようなというのが、施設を否定していない大陸ヨーロッパでもそうなので、現実どうかということを別にすれば、理念の部分で基本的には家庭養育のパーマネンシーということを言わざるを得ないのだけれども、それを保障するための役割として施設養育の専門機能の特化というか、そういう構造に何とか福祉後進国の日本も持っていかなければならないのではないかと思います。
○松本座長 分かりました。大変大きな流れの中に位置づけたときに、どのように考えるかという御発言でした。
いろいろな御意見があると思いますけれども、この点の議論はここで打ち切って、全体の理念の中でどのように反映していくかという観点で、専門委員会の議論につなげたいと思います。
あと、一括してというところで乳幼児の里親養育等の推進ということで、幾つか里親エージェンシーの話で議論が出ていると思いますけれども、特に何か御発言があれば。乳幼児のというところに特化して何か。里親エージェンシーとか里親の議論のところで大体出たということでよろしいですか。分かりました。
では、時間の関係がありますので、その次の論点に移りたいと思います。
○奥山委員 議論がどこでしたら良いのかよく分からない部分があって、里親の種別とかそういうのも少し考えてみようという話があったような気がするのですけれども、その中で例えば職業的里親とか、専従の里親さん、ファミリーホームとは少し違った形でそういうものもそろそろあっても良いのかなという気がしているのです。
○松本座長 なるほど。里親の種別ということの明確化と新たな創設という点についてどうかというふうに。ありがとうございます。そこは論点として残っていました。その点について、木ノ内委員から具体的に御発言がありましたら。
○木ノ内委員 これに書きましたけれども、長期パーマネンシーとしての里親というところと、乳幼児を扱うという場合には未熟児であったり、病児であったりということもあり得るので、かなり専門的なスキルがないと養育は難しいのだろうと思うので、乳児に特化した里親というのは必要なのかなと思っています。
○松本座長 今の点に関して他いかがですか。里親機能の明確化というか分類とか。骨子案への反映は、そういう方向で検討するとか、そういう方向が望ましいとか、そういう形での反映。でも、それは制度ができることでもありますので、それは詰めていって制度化の方向にもっていくというようにしたいと思います。
それでは、もう少し十分な議論をというところで、就学前の保育・教育の質の向上というところで、座長メモで言うと3ページ目の3(2)であります。これは以前、加賀美委員から資料の御提案があって、本日も提出資料をいただいていますので、10月30日の提出資料をまたいただいていますけれども、御発言をいただきたいと思います。
○加賀美委員 前回もこれを皆さんご覧いただいたと思いますので、簡単に。
基本的には今回の新たな社会的養育システムの1つが地域を拠点とする在宅措置といった虐待を受けた子どものうち、保護しきれない子どもたちへの支援の仕組みをどうするかというのが1つあったり、あるいは一般子育て家庭の支援プログラムも含めて総合型の地域子ども家庭支援の拠点事業を明確に位置づけようという話があったと思うのですが、もう一つの市町村の事業として、行われている0歳から6歳という年齢の子どもたちの保育・教育実態、これは既にお分かりのとおりだと思いますので、その子どもたちのいわゆる人格形成期で最も重要な時期の養育・保育の質が一体どうなのだろうかということを考えると、その改善に向けて明確に制度施策を変えていくということが、基本的な虐待防止そのものではないのか。というような考え方ができると思います。
これは保育三法あるいは新システムの問題が今、動き始めていろいろ議論があるところだろうと思いますけれども、その中で御案内のようにおおむね5,000億の予算をとって消費税を上げないで執行したという4月からの新システム実施状況の中では、3歳の子どもたちのところだけ若干の保育の質の向上がとられたということにすぎないのです。まあ30年も前からのいわゆる最低基準そのものが全然改善されていないという現実からもそこに新たに焦点を当てた取組を行う必要があるだろう。
そういう意味で改革の要点ということを書きました。保育・教育の質の抜本的向上のための保育士の質・量的改革の可及的速やかな取組の必要性ということと、虐待・貧困問題や心身の発達課題を抱える子どもたちも、その子どもたちの中には多く含まれているという現実があります。そういうことからもちろん一部の施設には配置されているのですが、保健師、心理担当職員であるとかという専門職が必要な時期に来ているだろう。あるいはそのことと連続する問題として、養育困難な家庭へのソーシャルワーク支援という観点から、ソーシャルワーカーの配置といったことも考えていく必要があるだろうというのが改革の要点として挙げさせていただきました。
もちろん、地域総合型拠点事業がかなり重装備で整備されてくれば、そことの連続性の中でそこをどう担保できるのかということももちろん考えながらの話です。これ全体は今回の法改正議論の中の1つの柱だと思っているのですが、正確なイメージにはならないかもしれませんが、戦後からずっと続けてきたハイリスクアプローチと言われるような保護を必要とする子どもたちの問題に特化してきた流れから、全ての子ども家庭を支援対象とするポピュレーションアプローチということになるのでしょうか。そういう流れを作っていく上での大事なテーマだろう。そういう意味で0~6の子どもたちの保育・教育の質の向上というのはとても重要なことだと私は思っています。
以上です。
○松本座長 ありがとうございます。
御意見どうぞ。
○秋山委員 今、保育所というのは待機児童の問題で大変なのですけれども、そこに保育所に入る理由が保育に欠ける子どもとなっています。保育に欠けるというのが優先されるのが共働きということになりますが、虐待、貧困、発達に問題を抱えている子どもたちというのも対象にできるような条件にしていただけたら良いなと思います。保育に欠けるという言葉を変えていただきたいと思っています。
○松本座長 少し意見を出し合いませんか。他にいかがですか。
○佐藤委員 総合的な地域の家族の支援拠点ができる、それが非常に望ましいわけで、それがきっとネグレクトの子どもたちと生活の場の確保になるのでしょうが、現在のところは保育所がネグレクトの家庭等への措置に近いような支援の拠点として私たちは活用させてもらっているわけなのです。でも、保育所に入園するのに自己負担が生じる等々で、そういうところになかなか結びつかない。今、ハイリスクの子どもには保育園も措置として使うことができるという、過渡的ですけれども、そういうことをお願いして、そこには体のことも見られるような保健師等々も加算をするということが今、現実的にすごく要求されていると思っています。
○松本座長 今、加賀美委員がおっしゃったことに重ねて、保育の入所要件の見直しということと、もう少しハイリスク家庭について措置という形できっと保育所の利用が担保できるようにという措置をとるということですね。
他にいかがですか。
○泉谷委員 目白大学の泉谷です。
保育所は今、障害のあるお子さんも受け入れていたり、ハイリスクのお子さんも市町村もしくは福祉事務所長が必要と認めた場合、入所ということで、地方によってはかなりそういった背景のある御家庭のお子さんを優先的に入れざるを得なくて、共働きのお子さんが逆に入れないという状況が起こっているところもあると聞いています。
何が大変かというと、いろいろな課題を抱えたお子さんがいらっしゃる中で、圧倒的に先生の数が足りないのです。本来保育士さんは子どもたちを見る視点をいっぱい持っているので、いろいろな課題を抱えたお子さんたちがいても、そのお子さんたちにとって安心できる場所になるためのプログラムを立ててということをやっていらっしゃると聞きますけれども、やはり人的なところが足りないのかなと。そういったところが充足されていくと、もう少し保育の質も上がってくるのかなと思います。
あと、園庭解放等で入所されていないお子さん、地域のお子さんたちもたくさん見ているところで、支援を必要とするお子さんたちをたくさん発見してきているというところも聞いています。そこと地域拠点のところが上手く結びついて、要保護児童対策地域協議会等に結びついていくような流れを作っていけると良いのかなと思います。
以上です。
○松本座長 他いかがでしょうか。
○井上委員 今の話を聞いて、全体を見ていく段階で私は子ども・子育て支援新制度が今、一歩先んじてその地域のことをしっかり捉えて、且つ、子どもの養育のところも考えてくれている制度だと思っています。ですから、この制度をまずしっかり見きわめた上で、そこの中に社会的養護として関わる子どもたちをどう組み入れていくかというところが、次に大事になってくるのではないかと思います。
その中で保育士さんと幼稚園教諭の大きな違いは、現場で見ていますと教育的な要素になると保育士さんがどうしてもまだ難しいところがあって、そこで上手くいかなくなっているところもありますので、保育士さんのスキルアップをするための研修とかケアのあり方とか、そういったところに少し手当を当てて伸ばしていくというやり方も大事になってくるのではないかと思います。
後は親御さんたちの状態を考えまして在宅支援という形で見ていきますと、はっきり言って社会的養護対象児の在宅支援の90%は保育所に行かれているのです。その保育所の先生たちへのバックアップが足りなくて、子育て支援課から保健師が行ったとしても、そこに回る人が足りないのでケアが継続できないという現状が起こっています。ですから、同じ子育て支援課、児童福祉の中で保育所と要保護児童対策地域協議会の部分があるのですが、そこのところが上手く連動してやっていけるようなシステムを考えていただきたいと思っています。
以上です。
○松本座長 今、幾つかお話が出たのは、1つは入所に関してもう少し幅を広げて、ハイリスクのところも含めて積極的に措置という形で利用できるようにということが1つ。
もう一つは、保育の質の向上、人的な配置を大きく向上させるというようなこと。
もう一つは、他機関との連携なり、そこをどのように制度的に強化していくかという観点かと思いますけれども、他いかがでしょうか。今の議論はそういう整理でよろしいでしょうか。
どうぞ。
○泉谷委員 保育士の養成課程の部分で今、非常にさまざまな家庭背景を持つ方が増えているので、社会的養護という形での教育は保育士さんも受けてきていらっしゃるのですけれども、もう少しそういった福祉的な対応を必要とするような、障害児の保育についてはしっかりカリキュラム立てがあるかと思いますけれども、福祉的な対応を必要とするような講義のようなものを保育士の養成課程、幼稚園教諭の養成課程の中で増やしていくことは必要かなと思います。
○松本座長 むしろ保育士の質向上という中に、養成課程の中のカリキュラムを見直すということですね。
どうぞ。
○井上委員 その点が出ましたので、現在は家族支援論という形で既にそこはきちんとやられているのですが、その前の世代の先生たちがそこが分からないというか、系統的に習っておられなくて、若い先生たちは教科書的には習ってきている。そこでミスマッチが起こっていることもあるので、その点を埋めてくださるといろいろなことが回り始めるのではないかと思っていますので、このような視点の検討をよろしくお願いします。
○松本座長 菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 どうしても保育所とか幼児教育のところで、子どもという視点で語られるのですけれども、やはり家族支援の視点ですね。だから子どもと日々接している職員さんが、親御さんが親として育っていくところをどうサポートするか。その位置づけだと思うのです。だから業務としてきちんとそういう役割なりを仕事として位置づけていくことが必要なのではないか。家族支援のところの勉強をし、その実践ですね。実際にそれをやりながらというようなことも必要になるのでしょう。どうしても待機児童とかいろいろなことで語られて、子どもを中心に語られるのですけれども、そこも日々接するところというのが子どもだけではなくて家族を応援していく機関としてきちんと位置づけて、人の配置もお金の配置もというようにしていくことが大事なのではないかと思います。
○松本座長 どうぞ。
○西澤委員 皆さんおっしゃることは全部もっともだと思うのですけれども、最大の問題は加賀美先生が書かれている4歳、5歳児が30人に1人という最低基準を本当に、児童養護施設の最低基準も最低だとよく言いますけれども、こちらの方が大最低ではないですか。そこの議論が余り出てこない気がして、こんな30人の4歳の子どもを1人で見られると思うのか。これは完全に男性視線です。本当に考えればそんなの絶対無理だと分かるはずなのに、それが今までずっとたなざらしになってきたというのは、保育園はもともと野口幽香の貧民幼稚園から始まると言われますけれども、彼女は貧民家庭、スラム街の家庭の子どもたちの発達保障は社会の課題であるとして、当時裕福層しかいなかった幼稚園を1900年に貧民家庭の子どもに充てた。それが先ほど秋山先生が言われたみたいに、保育にかける要件というものでグローバルでそれが高度経済成長のときに利用されてしまって、共働き家庭の支援機関になったということなので、もう一回原点に戻る。その原点に戻る最初の作業は、このばかみたいな最低基準の再改正だと私は思います。
○松本座長 どうぞ。
○井上委員 今、西澤先生が本当に大事なことを言ってくださったのですけれども、現実、保育士がいないのです。今度制度がどんどん変わってきて、保育士さんのニーズが上がってしまったのです。その中で実際に欲しいのですが、おられません。地域に行けば行くほど、幾ら保育士を作っても優秀な人たちこそ都会に出てしまって、都会は幾らでも必要ですという状況です。ですから全体を見渡したときに相当足りないというのを意識していただきたいと思います。
あと、今度もう一段階、安倍総理は言われていますね。そうなると保育士はさらに足りない状態が出てきます。ですから、そこのところもきちんと把握した上での検討を是非事務局にしていただきたいと思います。
○松本座長 今の井上委員の御発言の趣旨
は、なので待遇を上げるべきだというのか、それとも最低基準は余りいじらない方が良いというのか。
○井上委員 最低基準は是非いじってほしいのですけれども、現実問題としてそれを出したときに、現場はお手上げ状態でできませんと言っているところがたくさんありますということも知っていただきたいと思います。ですから補填をしっかりしていただくということです。
○西澤委員 今、委員長が待遇を上げるべきだと、つい最近どこかのニュースというかニュースショー的なあれで保育士不足のことを取り上げていて、潜在的保育士が何十万人というような、そのときにたしか保育士のライセンスを取って、保育園で6年働いた女性をインタビューしていたのだけれども、明細を見せてもらいましたけれども、6年働いても月給14万円ぐらい。すごい低い賃金で働いていて、人の命を預かっているのにこんなに低いのですね、我々の給料はというのは、かなり私はびっくりしました。児童養護施設の職員の待遇改善と思っていたけれども、それも必要なのでしょうけれども、保育士さんの待遇改善は喫緊の課題なのかなと思いました。
○松本座長 他、この点についてよろしいでしょうか。大体大事な論点は出尽くしましたね。後は加賀美先生の方でソーシャルワーカーだとか保育所の新たな職種の配置ということが提案されていますけれども、その点については何か御意見ございますか。
○奥山委員 今お話を伺っていて、一人一人の保育士さんが家族全部にサポートするというのは難しいしと思います。先ほどのお話のあった連携を考えたときに、大抵保育園は園長先生が窓口になっているのですけれども、園長先生は大変なのです。それを考えるとソーシャルワーカーさんみたいな方が必要だと思います、スクールソーシャルワーカーができているにも関わらず、保育園にソーシャルワーカーがいないというのは、学校以上にソーシャルワーカーが必要なのではないかと思います。
○松本座長 ちょっとまとめさせてください。この点が大事だということについては全然御異論がなかったと思いますので、具体的にどういうことを書き込むかというときに、1つは保育の質の向上と関わって最低基準の見直しですね。これは大変大きい。
1つは連携の強化。家族支援という方向を明確に打ち出すということ。
もう一つは、少し入所の要件を広げてハイリスクの子どもも受け入れるようにできるということ。
もう一つは、それとの関係で養成課程の見直しをするということ。
特に地域での連携ということを考えたときに、ソーシャルワーカーの配置ということを求めるというようにして、そうするとかなり保育にかける子どもを保育をするという機関というよりは、むしろ地域の子どもが通所する家族支援機関という性格を強めていく。大きく言うとそういう方向かと思います。
○奥山委員 理想論で言わせていただきます。病児保育ってありますね。病児の方には特別な保育をするという、要するに病気の子どもは預けられないので病気をしたときに預けられるところがある。すごく暴れて大変な子どもを何らかの形で保育をしながら治療をする、ケアをするというようなところも本来は必要なのではないかと思います。
今、障害を持っているお子さんや何かは加配を市区町村によってはしてくれるようなところもあるのですけれども、要保護児童に関しても多少加配ということも考えても良いのではないかと思いました。
○松本座長 どうぞ。
○加賀美委員 言うべきことは言っておいた方が良い。
まずは保育所は待機児童問題があって、拡大してでかくすると褒められるという傾向があるようです。これは子ども個別に考えたときに、ステレオタイプに子どもを見るという傾向がさらに強まるという意味で、保育所もまた一定の規模に縮めていくというか、そういう観点がないと子どもの養育の質は担保できないだろうと思いますので、その点も一定の枠組みを考えていった方がよいと私は考えています。
○松本座長 分かりました。ありがとうございます。
時間の関係もありますので、この点についての議論はここで打ち切りたいと思います。具体的に幾つかの御提案なり方向が示されたと考えています。
残り35分です。私の座長としての役割もあと35分かと思うと少しわくわくするような、ここからの35分が一番の山かと思うような気もしますけれども、例によってあと30秒ほどぼうっとしましょう。
それでは、資料3のたたき台、座長メモに戻ってください。私の提出資料です。全体を最初の方からざっと確認をしていって、骨子案に反映させるという観点でここはない方が良いとか、逆にこういうことはもっとあった方が良いという形で御意見をいただければと思います。残り30分でありますので、時間を切る形で進めていきたいと思います。
第1ワーキングのところも幾つか御議論が出ましたけれども、それはその都度、御紹介をしたいと思います。
理念のところですけれども、これは総論のところで、これは専門委員会で総括的に議論されるということだし、とても大事なことだと思うのですけれども、児童福祉法において子どもの権利、これは括弧の中をどう考えるかということは、これで良いのかどうか、もう少し付与するものがあるかどうかということが議論としてはあると思いますけれども、子どもの権利保障を明確にしていくということについては、これはこちらのワーキングとしてもこういう方向でよろしいでしょうか。
そのための家庭の支援を定めるという、これも明確な方向として具体的な今の保育所のことについても、こういう方向での議論がされていたと思いますので、これも理念の中に位置づけていくということで、このワーキングとしてもよろしいでしょうか。
次に、以下のいろいろな意見もあったということで、これはどこまでパーマネンシーのことも含めて幾つかの議論があったということは、もう少し議論を継続して法改正という観点で理念にどう盛り込むかというのは、少し議論が必要だということになるかと思います。
1の総論の(1)はこういう形で、これは第1ワーキングと同じ文言ですけれども、よろしいでしょうか。今の時点で、中身の議論を始めるとまたすごいいろいろな議論が出てくると思うのですけれども、これも反映させるとか、こういう観点はもう少し反映させるとかそういうことがあれば。
続いて、国、都道府県の責務というところです。ここは最初のワーキングのところでかなりいろいろな議論がありました。責務という言い方が良いのかとか、あるいは中核市に児童相談所の設置の問題について、例えば中核市に児童相談所を設置するということについて、それはかなりいろいろな議論が、意見の違いということも含めてあったと思っています。ですので、ここはこのとおり反映されるというよりも、第1のワーキングの議論も踏まえて骨子案に反映されると思いますけれども、特に第1のワーキングに出ておられない方で、ここについて何かいろいろ御意見があるという方は今おっしゃっていただけるとありがたいと思います。もちろん第1のワーキングの方で発言を封じるというものではないですけれども、かなりいろいろありました。どうぞ。
○奥山委員 もう一つのワーキングのときに重要だということで話になったのは、責務というより責任と役割というように分けた方が良いのではないかという意見がありました。ここで書いてあるのはどちらかというと責任に近いものということになるかなと思います。それだけつけ加えます。
○松本座長 もう少し役割というのは具体的に書いた方が良いという御発言も、第1ワーキングの方であったということは御紹介しておきたいと思います。ここのところは特段よろしいでしょうか。どうぞ。
○井上委員 先ほどのところで、こちらのワーキングでしゃべった方が良いかなと思ったので言わなかったのですけれども、国の責務のところで今後、日本の子どもたちを育てていくときの基準というか、アタッチメントも含めて大体こういう形で子どもたちをケアしていくのが良いですよというような理論を踏まえたガイダンスみたいなものを少し示してくださると良いのではないかと思っています。
というのは英国にしてもオーストラリアにしてもニュージーランドにしても、国の方がある程度ガイダンスを出しておって、そして、それに関してどこがどう外れているのでお母さんのケアが上手くいっていませんよとか、里親さんたちに関してもこのようなアタッチメントのケアが必要ですよという、もとに帰っていくようなベースになるようなガイダンスを国が示してくださっているというのがとても大事になると思います。ですから、ここの国の責務のところに、ここにあるような文言をきちんと成し遂げていくために、発達の指針とか具体的なガイドラインを載せてくださいということを言っていただけるとありがたいと思います。
○松本座長 いかがでしょうか。個人的に考えると、それはもちろんそれで決まれば大事なことですけれども、かなり変動があったりすることがあります。いろいろな研究の経過とか。また、単一のあるべきモデルを示すことができるかどうかという問題もあるので、実は一般的なあるべき子育て像みたいなものを出すということ自体は、かなり中身の議論を詰めていくことはそう簡単なことではないなと考えています。
○井上委員 他の国は、結局文科省のグループがそこをやるという形で最後出してきています。ただ、それが良いかどうかというのは別としてあるのですが、一応、意見だけです。
○松本座長 大事にすべき原則になるようなことを示すということはあると思います。
他いかがでしょうか。
それでは、時間の関係もありますので次に移りたいと思います。全体に関する制度ということで、児童福祉法の対象年齢の見直しであります。これは20歳まで上げるということを前提にして、社会的養護のところはそういう観点で骨子案に反映させたらどうかという書き方をしております。
ただ、第1ワーキングでも年齢のことについてはいろいろな議論がありました。成年年齢の引き下げのことをどう考えるかとか、少年法との関係をどう考えるか。あるいは影響のことをどう考えるか。児童福祉法一般で全部20歳にするのか、ある種の条件をつけてこういう場合に20歳とか、幾つかの条件で少し年齢の設定を変えるという観点から御発言もありましたけれども、何か他に付加的に、あるいはもう一度の念押しでも良いですけれども、御発言があれば。ワーキングとしては20歳まで上げるということで提案をしたいと、骨子案に反映させるという観点でいきたいと思っています。
どうぞ。
○塩田委員 ずっとワーキングで出ていたように、大学を施設から通えるように、措置の中で通えるようにということをつけ加えていただきたいと思います。つまり22歳まで、そういう特例も設けていくということです。
○松本座長 それは児童福祉法の年齢プラス継続的な自立支援のところでということですね。
どうぞ。
○辰田委員 今の意見で、ただ、措置ということであると、卒業するまでで費用徴収も発生してくるわけです。成人年齢になったら契約に変えることも検討すべきだと思っています。
○松本座長 どういう形があり得るかというのは前から措置という言葉が馴染むのか、契約にすべきか、あるいはそれに対する措置という観点でやるという意見もあるとは思いますので、ここは一致していないという認識です。両方の議論があると思います。
○西澤委員 契約に変えた場合には、それは費用負担というのは子どもに発生するということですか。
○松本座長 そういう意味だと思います。場合によっては。
○奥山委員 必ずしもそうではないと思います。
○西澤委員 今の発言の趣旨はそういうことですかという確認をしたのです。
○松本座長 今の御発言は、費用負担も含めてそういうこともあり得るという観点だったと思うのです。
○辰田委員 奥山先生がおっしゃったとおり、必ずしも本人だけに負担が生じるということではないと思うのですが。
○西澤委員 どう思って今、言われたのかということです。
○奥山委員 母子生活支援施設は契約という話ですね。それに全く公費が入っていないかといったら、入ってはいるわけで、全額入るというわけではないと思いますけれども、その辺のところは定めれば良いのではいですか。それは別問題だと思います。
○松本座長 今のは児童福祉法の年齢問題というよりは、継続的な自立支援というか、20歳を超えたところの自立支援の仕組みをどう作るかというところに議論が行っているような気がしますので。
○西澤委員 いいですか。そうではなくて、だから成人年齢が下がるであろう。そのときにでも20歳までは先ほども言いましたが、児童福祉法で支援をするんだという根拠ですね。その根拠としてはだからもともと工場法というか今の労働基準法ですけれども、18歳までは高校に行っているだろうから、だから18歳を成人年齢にしようよというという時代だったわけです。それが今や80%が20歳までは高等教育を受けているわけです。だから20歳までは社会的な支援のもとで学校に少なくとも短大、専修学校に通っていただきましょう。将来はちゃんとタックスペイヤーになっていただきましょうという理念でしょう。それが例えば大学に進学した場合には、今の措置延長制度を2年スライドして、少なくとも22歳までは広義で要するに労働者になるべく教育を受けていただきましょうよという趣旨だとしたら、理念的にはちゃんと合っているような気がしているので、そこはずっと主張を崩していないのです。
○松本座長 児童福祉法の年齢問題というよりは自立支援のところに行っていますので、ただ、20歳を超えたときのどういう制度枠組みがあるかということについては、今の西澤さんがおっしゃったような措置の問題と、後はそれは契約に切りかえるべきだという御発言もあるということは、そこはずっと並行しているように思います。私自身は契約に切りかえるということではないと考えています。
○西澤委員 契約に切りかえても良いのですけれども、要するに社会的な公費でちゃんとした職業訓練も含めたことをやっていきましょうという話です。でないと18歳で卒業して、実際のところ東京都の調査では3年以内に70%が仕事をやめているわけですから、それはちゃんとそこをやっていない結果なので、3年以内という数字も20歳ということを1つサポートする数字だと思います。
○松本座長 分かりました。20歳ということでよろしいですね。どうぞ。
○木ノ内委員 これまでの議論の中で20歳の誕生日未満というのではなくて、年度までということをこの時代と非常に年度末までを対象とするようにしていただいた方が、子どもにとってとても良いのかなと。何歳未満まで、20歳未満までというと、4月で消えてしまう人もいるので、その辺で言うと年度末をお願いしたい。今までの議論でもいっぱい出ていたのですが。
○松本座長 それは支援の枠組みの話ですか。児童福祉法の年齢18歳未満というのを20歳未満にするかどうかという話と、それを超えたときの支援の枠組みをどうするかというのは今、後ろの方にずっと議論が行っていると思います。それはそれで良いのですけれども。
○奥山委員 それはあって良いと思うのです。18歳の後の3月21日というのもありでしょうし、20歳にして20歳の後の3月31日というのも、というのは先ほど西澤委員がおっしゃっていたような考え方だとすれば、自立をするところまでは支援ということを考えたら、入り口もそうなるわけです。つまり社会的養護に入っているからではなくて、入り口のところもそのぐらいのところまでは市区町村に移った全体的な養育支援も含めて、支援の対象は20歳の3月31日までということはあり得るのではないか。だからケアリーバーの問題だけではなくてということではないかと思います。
○松本座長 どうぞ。
○磯谷委員 私は民法の成人年齢が18歳になったのであれば、基本的には児童福祉法は、先ほど児童福祉法はあくまでも20歳だという考え方ももちろんあると思うのですけれども、先ほどから申し上げているように支援の枠組みが違ってくるのではないかと思うので、1つの考え方としては、それは児童福祉法も18歳までに戻して、そのかわり18歳から例えば22歳ぐらいまでの間、つまり今いろいろな問題が指摘された実際にまだ自立をしていくために助走期間というか、昔、モラトリアムという言い方もありましたけれども、そういった期間というものを特別に位置づけて、例えば18~22の間というのは通常、大人では普通はしないけれども、十分な支援の費用も含めて支援をする期間なんだと。そのような位置づけ方もある。
ただ、それは18歳前の、まだいわゆる未成年である時代の支援とは法的な枠組みとしては違うかもしれないけれども、ただ、18~22なら22のそれこそ3月31日か知りませんけれども、その間というのを特別の期間と位置づけて、それはそれで例えば契約という枠組みでもいいけれども、費用的にもきちんとサポートしてあげるとか、いろいろな手当をするとか、そのような仕切りもあり得るのだろうと思うのです。分かりますか。
○松本座長 おっしゃっていることは分かります。年齢問題と支援の枠組み問題が切って話ができないということはありますけれども、そこがごしゃごしゃになっているので、つまり検討項目として児童福祉法の年齢というところがあるので、そこはどういうふうにこのワーキングとしてまとめますかという話なのです。
○磯谷委員 だから結局、1つの考え方は民法の成年年齢がどうなろうととにかく20歳だというのが1つの考え方でありますね。もう一つは、やはり成人年齢と合わせるべきだ。もし民法が今度18歳も入れるのだったら、もう一回やはり18歳であるべきだという考え方。それは両方あり得ると思うわけです。
○松本座長 結局これは両方の意見が出たという形で、ここでは整理をすることになりますか。私は20歳に上げるということが大勢かなと思ったのですが。
○磯谷委員 ですから単純に18歳に戻しておしまいということであれば、それは私ももちろん賛成しませんけれども、18歳に戻した上で例えば18~22ぐらいの間を特別な期間と位置づけて、それは児童福祉法で盛り込むのか何で盛り込むのか分かりませんが、そういった特別な期間として特別な支援をするんだということであれば、私はそれはあり得る話だと思います。
○松本座長 どうぞ。
○星委員 18歳に成人年齢を引き下げるのだったら引き下げてもらって、18歳、20歳でどうにもならない子どもたちについては年齢別に自立支援法とかそういう新しい制度を作っていかないと対応し切れないという話をしていたと思うのですけれども、20歳になっても余り変わらないような気がするのです。
○松本座長 年齢をどうするかということと、年齢を超えてもどうするかという話は分けませんか。ごっちゃに議論されているので。ただ、いずれにしても継続的な支援も必要だし、それを目指した法改正が必要だということは多分合意だと思うのです。
○磯谷委員 ちょっとはっきりさせるために、児童福祉法は民法の成人年齢に関わらず20歳に引き上げるんだという場合に、例えば21、22あたりのお子さんについては、それはそれでまた別途考えるということになるのですか。
○松本座長 それは先ほどから話が出ているとおりです。
○加賀美委員 今のこととも関係するし、西澤委員の発言との絡みもありますが、この委員会がスタートするときの大臣の御挨拶の中に「全ての子どもは適切に養育される権利を有するとともに、その自立を保障される」を理念として抜本改正をしたいというご発言があったということを、私の記憶にあったので改めて申し上げておきたいと思います。
○松本座長 年齢のところについては延長の方向、ただし、18歳で置くという意見もある。いずれをとるにしても、別に継続的な自立支援の枠組みを作ることが肝要であるというように年齢のところはしたいと思います。どういう枠組みが必要かというところは別のところの検討項目になっているので、そちらで確認をしたいと思います。
時間があと15分ですので急ぎたいと思います。子どもの権利擁護に関する機関の創設というところですけれども、ここについては何か第三者機関を作ることが必要ではないかという1つの提案になっているわけですけれども、それは行政から独立するような形ということで、既に幾つかの案が出たというぐらいでこのワーキングとしては余りきちんとここはこのワーキングでもできていませんけれども、専門委員会の議論につなげていきたいと考えておりますけれども、いかがですか。どうぞ。
○辰田委員 例えば施設に入っている子とか、一時保護所に入っている子は被措置児童の通告があって、権利擁護部会で調査しています。その調査を事務局職員が行っては余り意味がないといった御意見もありましたが。あと親に対しては行政措置されたことに不服申し立てができます。ただ、在宅の子ども自身が訴える場所がない中で、権利擁護の部分でそういった機関が設けられることは良いことだと思います。
ただ、ここでもう一つ出てきている、要保護児童対策地域協議会の関係者が例えば児相がやっていることについていかがなものか。それについて申し立てて調査して勧告をもらうというのがいま一つ。両輪でやっていく関係機関同士で動かないどうだこうだといったことはすとんと落ちてこないのです。逆に都道府県児童相談所にしてみれば市町村がもっと動いてほしいのに動いてくれない。逆もあると思うのです。今のルールの中では市町村が持っているケースについて、例えば児童相談所の機能が必要だと援助要請、送致というのがあります。さらにもう一歩踏み込めば、児相が動かないものについては通知というものがあるのです。この間どれだけ通知が利用されてきたかというと、私の記憶の中ではないのです。もし児相が適切に動いていない、要保護児童対策地域協議会のまとめである市町村が判断するのであれば、もっと通知を積極的に使って、児童相談所の判断が正しいかどうかとか、双方が議論をしていくべきだと思っています。
○松本座長 どうぞ。
○奥山委員 びっくりしたのですけれども、私も実際、いろいろな要保護児童対策地域協議会の場面で通知というものがあったはずだからというのですが、東京都は使ってはいけないと言われているんですと言っていたので、「あれ?」とおもいました。使って良いんだと思って、是非使うように言います。
それで、ここで書いてある要保護児童対策地域協議会の関係機関というのは、必ずしも公的な区市町村だけではないということで考えています。実際に医療機関である私たちが一時保護から自宅に返しては危ないと思っているときに返して亡くなっていたというケースもあるわけです。絶対に帰してはだめだよと思っているのに、あるいはそう言ったのに著しい再虐待を受けるということはよくある話なのです。子どもの権利を守るためにそういうことをみんな社会としてやりましょうという意味では必要ではないかと思います。
○松本座長 西澤さんが挙がったので、その後、辰田さん。
○西澤委員 数字は分かっていないです。むしろ東京都が分かっているのではないかと思うのですが、今、奥山先生が言ったことが合うのかどうか分かりませんけれども、東京都ルールがあって、東京都では東京都の児童相談所が主担当になるか、市区町村の子ども家庭支援センターが主担当になるかを決めて、主担当になった期間の措置に関しては何もできないのです。だから例えば児童相談所が主担当になって、渋谷区の私たちは副担当ということになって、そこのところで一時保護しない、在宅支援だと決めたら、それに関して通知はできない、東京都は受け付けないのです。そのシステムを作っているので通知が出ないのは当然と言ったら当然。
これが子ども家庭支援センターが主担当で児童相談所に幾ら言っても、やってくれない場合にはもちろん通知を出しますが、実際に主担当だったら動きます。これは東京都の話なので非常にローカルルールなのですけれども、ローカルルールで決められて我々はがんじがらめになっていて、通知も出してもはねつけられるという現状があるということ。数字は分かりません。だけれども、それはそのような裏のからくりがあるということだけは申し上げたいと思います。
○辰田委員 そこの理解について、都の話をここでしていてもしようがないと思います。ただ、援助要請、送致、通知を出すのは市町村の判断で出せます。受け付けないから出すなとかではない。ここで議論していてもしようがないですけれど、もっと市町村と児相が連携をしていかなければいけない。そういう中でどういう対応をするかというのは検討していくべきだと思っています。
○松本座長 分かりました。
ここで議論を打ち切りたいと思います。中身についてはかなりまだいろいろな議論を残しているという認識で、次の専門委員会のところで少し議論をここは継続すべきだと考えます。そういう整理でよろしいですか。議論をし出すとこれだけで3時間か5時間ぐらいかかります。
次に市町村のところで地域拠点の整備ということは、ここは一定議論をいただきました。ここに書いてあるのは私がここで以前出した座長メモということで、こういう確認でよろしいですかというようにして出したことの延長であります。拠点を創設して市町村の事業とする。これは確認なのですけれども、虐待防止ワーキンググループの検討事項、第1ワーキングのところである通所在宅支援、措置ということを担うという機関を地域ベースで作っていくということだということです。これは他の既存のものとの関係を整理する必要があるということも、ここで確認をされていることかと思います。きちんと地域でソーシャルワーク機能を持つような拠点であるということも確認されていることだと思いますので、そういう整理でよろしいかということです。これは以前出したメモに沿ってここに書いているということです。特段もう少しこういうことも含めてということが、御意見がなければこれは専門委員会、委員会レベルの全体のまとめのところでもう一度取組みたいと思います。中身をどのように制度設計して作っていくかということ自体は、かなり具体的な議論が今後必要だと私は認識しています。
○磯谷委員 ここだけに関係するというわけではないのですけれども、基本的に今度の法改正で何を載せるかというところにも絡んでくるのですが、もちろんこの状況では載らないですね。だって既存の事業、施設との関係を整理する必要があるという話だったら、それは当然今度までには無理な話ですから、それは載せないという理解でよろしいのですか。つまりこれを載せるのだったらもっと詰めないといけないですね。載せないのだったらこれで良いと思います。そこはよく、あと本当に2回しかなく、しかも2回目は基本的には取りまとめるという話であるとすると、実質18日しかないわけで、あの2時間しかないのです。それでここをこういう状況でよろしいのかどうかという、後は皆さんの方で、ここは何としても今回の法改正でやるんだとなったら、もっと詰めないといけないのではないかと思います。
○松本座長 ななるほど。
他いかがですか。
○井上委員 この辺は事務方から説明していただきたいのですけれども、子育て世代包括支援センターに関して総務の基本型と母子保健型。一方、私の漠然としたイメージとしてはセンターというと建物のような気がしておりましたが、実際のところはそういう形ではなくて市町村の窓口の中にそういう形の部署を作って、人に関して補填していく形式でも良いというような制度の説明の方がきちんと出てきていると思います。私としてはその考え方はすごく現場にマッチした良い考えだなと思っているのですが、皆さんそれはもう認知しているということでよろしいでしょうか。それとも、センターは建物というイメージでとられておられたかどうか。
○松本座長 どうぞ。
○加賀美委員 8万8,931件のうち、一時保護後、措置として分離保護できる子どもがざくっと言って4,000~5,000件ですかね。その他の子どもたちはほとんど在宅に戻されているという現状の中で、それに支援をする拠点を作り、具体的に在宅にアウトリーチサービスも含めてやるというようなことを考えたときに、何らかの形でハードも含めて拠点を整備していかないと無理ではないかと思います。ただし、これは市町村の子ども人口と関わるので、全部の市町村にと考えなくても良いし、既にある公的あるいは民間の機関や機能を上手にマネジメントして、それを包括して使うということも含めてのことです。しかし、対象となる子どもの数から言って相当なボリュームです。そうすると児童相談所が扱っている子どものうち分離保護した子どもたちの介入、保護、措置という枠の数をはるかに超えた数だと考えれば、ハードの整備を含めてその機能は明確に位置づけた方が良いと思います。
○松本座長 今回の法改正でという意味ですね。
○加賀美委員 はい。
○奥山委員 本来、児童虐待防止システムのワーキングの本来中身なのですけれども、それとの関連で言うと、ここの図のところの2ページを見ていただきたいのですが、青く書いてあるところがもともとの児童相談所の機能なのです。それをできるだけ市区町村にお願いをしていくということで考えると、こうなるのかなというあたりのところを入れ込んであります。その辺がこの形でやっていくというように考えて良いのかどうかを、是非市区町村の立場から考えてみてほしいと思いました。
○松本座長 このワーキングの進め方なのですけれども、今これが必要だということ自体は合意だと思います。ただ、今、磯谷委員がおっしゃったように、例えば法制度という形で乗せるには、もう少し整理なり検討をしなければいけないという御指摘もあって、私もそれはそうだと思うのです。ただ、それをこの後3分の時間でできるかということがありますので、そういう御指摘もあったということで次の専門委員会の議論で委ねるしかないだろう、継続するしかないだろうと思っています。
○西澤委員 今、磯谷先生の話を聞いて焦ったのですけれども、やはりそうなのだと。前々から少し思っていたのですが、これは名前だけ出てきていて全然具体的な詰めがないままに来ていたので、考えてみれば第1ワーキングのメーンが児童相談所機能の分化だとしたら、それを受けるのはこちらなので、ここがないと第1の方もいかない。
○松本座長 それはセットで話さないとなかなか。
○西澤委員 いや、セットで話さないというだけではなくて、ここを詰め切ってこなかった。だから次回の専門委員会でやるのであれば、早急にみんなで案を出し合って詰めないといけないのではないか。でないとこれが成り立たなかったら第1の方の目玉も成り立たないとなって、何のためにやっているのか分からない。我々は今まで無駄働きをしたのかということになってしまうと思います。
○松本座長 そこはこれだけの期間のワーキングで詰め切れなかったということで、座長をクビにしていただければ。でもここの中身をどう考えるかということは課題として残っているというのはそのとおりだと思います。
○西澤委員 提案ですけれども、幹事会で1回重点的にここのところはやらないといけないのではないかと思います。
○松本座長 幹事会でも第2ワーキングマターのところはこれまで余り時間をとることができていませんので、これはなかなか議論を詰め切れていないところであるということは事実だと思います。
7時なのですけれども、若干延長させていただいて、さっと最後まで専門委員会、全体のまとめに反映させるという観点で御意見をいただければと思います。
児童相談所関係のところで、一時保護・アセスメント機能の整備ということで幾つか案を出しました。これは大体はここで出た御発言に沿う形でこういうことが必要ではないかということです。これは読んでいる時間がありませんけれども、何かここについて、これ以上、少し追加的に何か反映させるべきだということはありますでしょうか。
○辰田委員 一時保護・アセスメント機能の中で処遇の個別化を促進しというのは良いと思うのですが、混合処遇を原則禁止するということは、男女や主訴を分けるということなのですか。○松本座長 ここはどの程度までというのは、現状でいろいろな子どもがずっと、割と同じ場所に入っているのはどうかなと思うところがあったのですけれども、これは混合処遇のことについてはかなりワーキングでも議論は出たと思います。
○辰田委員 非行の主訴中には虐待があったり、また逆だったりと、一概に入った主訴によって分けられるというのは言い切れないと思っています。
○松本座長 ここまで書くのは書き過ぎだという御意見ですね。
他いかがですか。個別化を進めるということであります。
○奥山委員 個別化を進めるというより、個別に対応できるようにするということが重要なのだろうと思います。個室が必要な子もいますし、静かな環境が必要とかいろいろあるのだと思うのですけれども、その子に合わせた個別な対応ができるようにすることが重要なのではないですか。
○松本座長 個別対応が可能になる条件の整備を進める。そういう観点ですね。分かりました。そのような形で整理を進めたいと思います。
他いかがでしょうか。
次に移りたいと思います。社会的養護の継続的な自立支援システムの構築というところは、これも先ほど年齢のところで議論が出ましたし、その前にも根拠法のところで議論が出ましたので、それ以外に何か付加的にというところがありますでしょうか。ここは大分時間をとって議論したところなので、こういう形で少しまとめさせていただいて、全体の議論で確認していきたいと思います。よろしいですか。どうぞ。
○奥山委員 奥山です。
法改正に結びつくことではないのですけれども、ずっと一生見ていくわけにはなかなかいかない。機能は持つとしても、やはり地域で支援が必要だと思うのです。そういう意味で他の施策との橋渡しをきちんとすることが重要なのではないか。例えば子若の協議会みたいなところにお願いをするのだったらば、そういうところも活用し、連携をきちんとしていくことが必要だと思います。もう一つ、これも法律マターではないのですが、理念として初期からの自立というところを考えたケアのあり方をきちんと明確に打ち出していくべきだろうと思います。
○松本座長 分かりました。
他いかがですか。それでは、次に移りたいと思います。いろいろ議論はおありかと思いますけれども、5分超過をします。先ほど第1ワーキングは15分の超過でしたので、できれば10分の超過ぐらいで終わりたいと思っています。
○松本座長 あと、母子生活支援施設の機能の見直しということですけれども、ここは母子生活支援施設のヒアリングの後、メモもいただいています。それでここに書いてあることとの内容は議論をしたところで、特に妊娠期から利用できると明確に位置づけるということが趣旨でありますけれども、この点については特に御異論はなかったと思いますので、こういう形で反映させることでよろしいですか。
○泉谷委員 1点だけ表記の形のところで、一番最後の丸のところ「特定妊婦を入所させて」とあるのですけれども、前回のときも多分これを措置でやるのか何でやるのかという議論があったかと思います。基本的には先ほど奥山委員もおっしゃいましたけれども、母子生活支援施設は契約施設なので、特定妊婦さんが利用する社会資源の1つとしてとなると、必ずしも全部が措置という形にするのか、契約というところも利用者の意向をくみとってあってもいいと思いますので、そこの表記だけ検討していただければと思います。
○松本座長 そうですね。そこは少しどういう形で、法的形でということは議論として残るということですね。分かりました。
続いてでありますけれども、里親・養親支援、施設ケアのところ、乳幼児のところ、(3)、(4)、(5)については先ほど前段で議論したところですので、特に追加的な御発言があればと思いますけれども、よろしいでしょうか。どうぞ。
○西澤委員 今回はそこがメーンではないと言われる向きもあるのですが、小規模化の推進というかインセンティブについては何も話していないと私は思うのです。
○松本座長 最初の方のワーキングでたしか西澤さんから御発言があって、その後、それについては議論していないです。
○西澤委員 今回はそこはいじらない。例えば本当に小規模ケアができているところについては、例えば職員の配置基準を1対1にするとか、そのようなことは考えないということでよろしいのでしょうか。
○松本座長 分かりました。それはどういう形で制度的にインセンティブをつけることができるかということは、少し議論として出ていましたので、そこは盛り込んで少し専門委員会の全体のまとめのところでもう一度議論というようにしたいと思いますけれども、そういう趣旨の御提案として聞いて良いですか。
他いかがですか。どうぞ。
○武藤委員 小規模化のところは前にもお話したのですけれども、何と言っても職員の人材の確保と育成と定着策を十分取組みながら事を進めないと、本当に十分子どもたちの養育が保障できないということになると思いますので、先ほどの西澤委員の職員の配置のところもあわせてなのですけれども、そういうところは現在、国全体で「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」で出しながら、部分的には、努力をしているところなのですけれども、さらに進めるということであれば、抜本的なそういう人材対策、これを抜きに進められないと思いますので、意見としては入れておいていただければと思います。
以上です。
○松本座長 分かりました。
他、ここのところでのインセンティブの問題と、もう一つは抜本的な人材対策ということです。
それでは、よろしいでしょうか。いろいろな議論はまだあると思うのですけれども、少し第1とまとめて専門委員会の方に合同する形で議論は継続されると考えております。これでワーキングを終了したいと思います。また4回のワーキングを終了するということで、少しほっとした思いと、これからも大変だなという思いが両方あります。どうもありがとうございました。
それでは、松原委員長の方から何かありましたら。
○松原委員長 ワーキングどうもありがとうございました。これでこのグループのワーキングも最後になります。この後、幹事会で議論をしまして、次回には骨子案を出したいと思います。合意がとれたものについてはさらに詳細なものを提示いたしますし、議論が必要なものについては一応、今、最低2回の専門委員会が予定されておりますので、そこで議論を深めていき、合意が得られるものは合意を得た記述をいたしますし、論点として削ることができず、しかし、議論がまとまらないものは両論併記とか複数意見の併記ということも含めて考えていきたいと思いますので、引き続き専門委員会での積極的な御発言、御参加をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○松本座長 それでは、事務局にお返しします。
○寺澤家庭福祉課長補佐 本日はありがとうございました。
ただいま御案内がありましたように、専門委員会での議論が再開されることになります。専門委員会の日程につきましては、来週11月18日水曜日10時から12時、場所は厚生労働省の18階専用第22会議室となります。正式な御案内は追って事務局より御連絡いたします。ありがとうございました。
○松本座長 では、これで終了です。どうもありがとうございました。
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